“マンションPER” に見る、資産価値の下がらない駅
2019年5月8日に不動産調査会社の東京カンテイがマンションの割安感を示す指標と言われる「マンションPER」の最新版を公表しました。
マンションPERは資産性の高いマンションを購入する際に非常に参考となります。
マンションPERとは
マンションPERって難しい単語だけど何を意味してるんだろう??
マンションPERとは「マンション価格が賃料の何年分に相当するか」の指標です。言い換えると、「賃貸に出した場合、何年で購入価格を回収できるか」と同義になります。
例えば、PER1位の京王多摩センターはPERが15.5となっています。この場合、購入マンションを賃貸に出した場合、15.5年で購入価格を回収できることになります。
マンションPERの上位10駅
上位10駅は下表の通りです。本データを基に、「上位の駅(PERの低い駅)は割安でお買い得」と紹介されることもありますが、本当にそうでしょうか?
まず、パッと見ただけでもほとんどが人気のある駅では無いことがわかると思います。以下10駅の中で人気がありそうと感じる駅は8位の横浜くらいじゃないでしょうか。
通常、人気のある駅=資産性の高い駅では、マンション購入後も価格がほとんど下がらないため、物件価格が高くなります。そのため、物件価格が高い分、賃貸に出した際は、回収するまでの期間が長くなります。
つまり、マンションPER上位の駅は「割安感を出さないと売れない駅」ということになります。賃料と比較するとマンション価格は相対的に安くなりますが、将来的なマンション価格下落リスクや、賃貸に出した際の空室リスクが高くなります。
そのリスク分が割り引かれてマンション価格に反映されているということになります。
順位 | 沿線名 | 駅名 | マンションPER |
1 | 京王相模原線 | 京王多摩センター | 15.5 |
2 | JR埼京線 | 武蔵浦和 | 15.6 |
3 | つくばエクスプレス | 三郷中央 | 16.2 |
4 | JR総武線 | 千葉 | 17.3 |
5 | JR常磐線 | 柏 | 17.8 |
6 | JR武蔵野線 | 吉川美南 | 18.1 |
7 | つくばエクスプレス | 柏の葉キャンパス | 18.3 |
8 | JR京浜東北線 | 横浜 | 18.5 |
9 | 北総鉄道 | 千葉ニュータウン中央 | 18.5 |
10 | JR根岸線 | 新杉田 | 18.8 |
引用:東京カンテイ 2018年 新築マンションPERの概況
マンションPERの下位10駅
下位10駅が下表の通りです。上位とは逆に「回収期間は長くなるが、資産価値が下がりにくい駅」を表しています。
1位は大規模再開発中の渋谷駅であり、納得の順位ですね。他にも都内でも屈指の人気駅が並びます。
賃貸に出した場合の回収期間は長くなるものの、資産価値は下がりづらく(もしくは上がる可能性も十分あり)、空室リスクも低い駅となります。
もちろん、その年毎の特殊要因等があるため、この順位が絶対ということはありませんが、マンション購入に当たってはかなり参考になるデータになると思います。
特に、マンション購入時には個人の見解が入ってしまい、気に入っている駅を過剰評価してしまうことも珍しくありません。個人の恣意性を排除する意味でも、このような客観的なデータを活用することは非常に重要です。
順位 | 沿線名 | 駅名 | マンションPER |
1 | JR山手線 | 渋谷 | 41.2 |
2 | みなとみらい線 | 元町中華街 | 40.7 |
3 | 東京メトロ有楽町線 | 麹町 | 39.9 |
4 | 東京メトロ銀座線 | 外苑前 | 37.5 |
5 | 東京メトロ日比谷線 | 神谷町 | 37.0 |
6 | 東京メトロ千代田線 | 乃木坂 | 35.8 |
7 | 東急田園都市線 | 二子玉川 | 34.8 |
8 | JR山手線 | 品川 | 34.6 |
9 | 西武池袋線 | 練馬 | 34.6 |
10 | 東京メトロ千代田線 | 代々木公園 | 33.2 |
引用:東京カンテイ 2018年 新築マンションPERの概況
まとめ
資産性の高いマンションを選ぶ際には、マンションPERの高い駅(=利回りの低い駅)を中心に選びましょう。
目先の利回りに捉われず、将来価値で判断することにより、マンション購入で失敗する可能性を最小限に抑えることができます。