新築マンションの価格表を信じてはいけない理由
2019年になってからすでに20件以上新築マンションの見学に行きましたが、最近デベロッパーの販売戦略に異変を感じるようになってきました。(特に中堅デベロッパー)
その異変とは「マンション価格が客やタイミングによって変わる」点です。以前と比べるとかなり価格が流動的になっています。新築マンション検討時には売主にとって都合の良い “カモ” とならないように注意する必要があります。
マンション価格は客やタイミングによって変化する
最近は一般販売の前に、早期登録者や会員向けに先行販売が行われるケースも多くあります。特に中堅デベロッパーに多いようです。
その場合、間取りや日当たり等の条件の良い部屋から優先的に販売されます。通常、先行販売は条件的に有利なイメージがありますが、実はその逆であり、価格が上乗せされているケースがあります。
デベロッパーの戦略をまとめると以下の通りになります。
- まず条件の良い住戸を優先的に販売
- 先行販売では価格を上乗せし、利益を大きく確保する
- 一般販売では残った住戸を必要に応じて値引きして販売
- マンション全体では予定した利益を確保
先行販売で価格を上乗せしたら買い手がつかないんじゃないかな?
と疑問に思う人もいるかもしれませんが、マンション購入者の中には昔からそのエリアに住んでいる人や、思い入れのある人が一定数存在し、「価格が高くても欲しい」とのニーズが少ないながらもあります。
また、そのような人たちが欲しいと思うような条件の良い部屋(例えば高層階や南向け部屋など)を先行販売することによって「このタイミングを逃すと他の人に買われてしまう」とプレッシャーをかけることもできます。
先行販売で大きく利益を確保した後、残った住戸の売れ行きが悪ければ柔軟に値引きに応じて完売を目指す形になります。
販売側の目線からすると非常に合理的(ずる賢いともいいましょうか..)な戦略です。
具体例
今までは左表のように全住戸の価格を開示した上で比較的透明性の高い販売戦略が主流でした。
一方、最近よく見られる手法が右表の通りです。高層階や条件の良い部屋(この例ではCタイプ)を優先的に販売します。そして、左表と比較すると分かるように、価格を上乗せ(この例では300万円)し利益を大きく確保しています。
もちろん全ての住戸を高い値段で販売することは不可能なため、残った一般販売住戸については「今なら値引きできますよ」と個別に交渉し、割安感(実際には割安では無いのですが)を出すことで完売を目指していきます。
まとめ
- 価格表を鵜呑みにしない(特に先行販売や会員向け販売)
- 常に値引きの可能性を探る
- 同マンションの他住戸との比較で判断しない
このような販売戦略は現時点ではそこまでメジャーではありませんが、少なくとも上記のポイントに留意する必要があります。
また、「同じマンションの他の部屋はXXX万円で売れているからこの部屋は割安」と判断することも危険です。その部屋が割高水準で販売されていれば決して他の部屋が割安であるとは限らないからです。
過去の販売実績や市場動向を踏まえた上で自分で適正価格を見極め、その価格との比較により判断する必要があります。